ツマは言語聴覚士

「失語症」って何だ?

Posted on 2019年3月4日

3カ月で自然に戻るかと

2012年7月。オットが倒れたと連絡をうけ、駆けつけた急性期病院で「言葉に障害が残る」と聞かされました。そのときは「いやいやそれより、命に別状はないんでしょうか」と質問し、まあ大丈夫ですよと言われて、ああそれならよかったと安心しただけ。当時は「失語症」という言葉も知らなかったし、言葉がどうのこうのというのは、大したことだと思ってなかったのです。
程なく目を覚ましたオットは、日本語にはない、わけのわからない言葉を喋っていました。言語聴覚士になった今ならば、これは失語症の言語症状で「ジャーゴン」だとわかりますが、そのときの私は全くのシロウト。
おやおやオカシナことになってるぞ、まあ、脳出血の直後だからそういうこともあるのだね。3カ月もしたら、自然に元に戻るでしょ、と軽く考えていたのですが。
数日後、「失語症」について医師から詳しく説明されまして。

えええええええええええええええ! そんなことってあるのおおおおおお!!!

Word文書を消したみたい

失語症は、脳卒中や脳外傷で脳の言語をつかさどる部分が障害をうけたことで起こる後遺症です。「聞く、話す、読む、書く」のすべてが難しくなり、数字もわかりづらくなります。
障害された脳の範囲や状態によって、重症度や症状は違いますが、長い時間かけてリハビリをする必要があります。

オットの場合は、左側頭・頭頂に皮質下出血があり、発症当初は重度のウェルニッケ失語でした。オカシナ言葉を話すだけでなく、聞いて理解するのも複雑な文は困難。文字を読んだり書いたりすることは全くできず、自分の名前すら書けませんでした。

と、言語聴覚士になった今ならばすんなり理解できますが、当時の私は「失語症」という言葉すら馴染みがない状態です。

ええっと、それはつまり、3カ月では元に戻らないわけですね、たとえば平仮名の「あいうえお」を、イチから覚え直さなければならない、ということでしょうか。

と医師に聞くと「まあ、そういうことです」とのこと。いやいやいやいや、どっか叩いたら出てきませんか、一回覚えたことなんだから、ちょいっと刺激したらスルスルーっと思い出すんじゃないですか、と思ったけれども。違うんですね。
つまり。

パソコンでコツコツ書いてたWordの文書をうっかり消しちゃった! わああ、保存してない! うわあああ、ないないないないどこにも残ってなあああい……orz
しかたない。イチから書き直すしかないのか。

ということだと。
失語症家族初心者だった私はこんな風に理解しました。
入院中のオットにも同じように説明をしました。オットが理解できたかどうかはわかりませんが。

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